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小屋の旅 001 (草園の小屋)

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 1.草園の小屋
 これは能登半島にある小屋です。これぐらい小さい建物だと、施工の簡単な片流れの屋根にしそうですが、これはきっちりとした切妻屋根のフォーマルな装いになっています。手前の妻側が建物後部で、玄関がある入り口は反対側に面しています。ということで、写真では後ろ向きの姿を見ていることになります。
                   
 地形的には川と山とにはさまれた日当りのあまりよくない土地に建っています。最初にこの小屋を見たとき、畑作用に造った小屋かと思ったのですが、電気を引き込んだ跡があることや、小屋の大きさなどから、揚水用のポンプ小屋の可能性も考えられます。川から水をポンプアップしていたのであれば、そのための配管なども残っているはずですが、土台部分が草に隠れてよくわかりません。
                   
 屋根の朽ち具合いからみると、小屋が使われなくなってもう何年も経っているようです。それでも全体的にまだしっかりと立っていて、姿かたちに乱れたところがまったくありません。頭部にのせた飾りのようなフジ植物が特徴的ですが、このフジ飾りで盛り上がったところは、近くの電柱から電気を引き込んだ支柱の跡のようです。このままフジのツルを放置すると、やがて小屋全体に広がっていくことになるでしょう。ツルは強いですから、そのうち小屋をおおい尽くしてしまいます。それにしても小さな小屋でも、切妻屋根にすると“馬子にも衣装”で、朽ち果てていく姿でも立派に見えます。
                   
 小屋にもし命があるとすれば、自分が用済みになって放置されていることを知ってか知らずか、ひたすらに現在を生きているといったところでしょうか。暗さ、寂しさというものがありません。雑草にとりかこまれながら幸せそうに、ただ立っている姿がいいですね。雑草というのは、人間との出会いの唯一の接点は草刈り、除草しかありませんから、人間から見放された地で、雑草も捨てられた小屋も、のびのびと暮しているようです。美しいですね。